VENUS AT HER TOILET 化粧するヴィーナス
両腕を頭の後ろで組み、膝をそろえて跪くこの女性像は、《地獄の門》のティンパヌムの左隅に配されているほか、《オルフェウスとマイナスたち》に見られるとおり、多くのアサンブラージュにも組み込まれています。単独像としても《目覚め》や《跪くファウナ》として発表されています。腕から腰、腿までつながる美しい輪郭線をもったこの像は、ロダンお気に入りの人体像のひとつといえます。しかし形をよく比較すると、それぞれ身体の傾き、台座の位置や形が異なっています。
一連の跪く女性像のなかでは、《化粧するヴィーナス》が最も動きがあり、官能的です。ロダン美術館では、本作が一番先に形づくられ、《目覚め》など他の像に変容したとみています1)。この作品は、ロダン没後に初めてブロンズ鋳造されており、国立西洋美術館所蔵作がその最も早い作例です。
1) Antoinette Le Normand-Romain, The Bronzes of Rodin. Catalogue of Works in the Musée Rodin, (Rodin et le Bronze, Catalogue des Œuvres Conservées au Musée Rodin), vol.1, Paris: Éditions de la Réunion des Musées Nationaux, Musée Rodin, 2007, p.628.
(大屋美那監修/編集『手の痕跡 : 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描』 展覧会図録、東京:国立西洋美術館、2012年)
制作年
1890年頃
材質・技法・形状
ブロンズ
寸法(cm)
47 x 27 x 21
署名・年記
台座右側面に署名: A. Rodin; 台座背面に鋳造銘: Alexis Rudier / Fondeur. Paris
所蔵経緯
松方コレクション
Standard ref.
M1301
分類
彫刻
所蔵番号
S.1959-0053
来歴
松方幸次郎氏購入; 1944年フランス政府が接収; 1959年フランス政府より寄贈返還.
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