THREE FAUNESS 三人のファウナたち
《三人のファウナ》の人体像は単独で《地獄の門》の柱と扉の境目の上部に、《立てるファウナ》はティンパヌムで腕や足の形状を少しずつ替え、2カ所に登場します。ファウナはギリシャ神話で牧羊神ファウヌスに付き従う精霊を示しますが、ロダンは《地獄の門》に登場する小さな女性像をしばしばファウナと称しました。《三人のファウナたち》は、同じ型から生みだされた像を反復させて、ひとつの作品とするというロダンがしばしば用いた手法による作品です。3体の像を組み合わせている点では《地獄の門》の上部にも用いられた「三つの影」を思い起こさせます。それに比較すると小さく愛らしい作品に仕上がった本作をロダンは好んでいたらしく、ジュディト・クラデルはロダンが食卓の上にこの石膏像を隠すように置いていたと記しています1)。
1) Judith Cladel, Rodin, Sa Vie Glorieuse, Sa Vie Inconnue, Paris: Bernard Grasset, 1936, p.336.
(大屋美那監修/編集『手の痕跡 : 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描』 展覧会図録、東京:国立西洋美術館、2012年)
制作年
1896年以前
材質・技法・形状
ブロンズ
寸法(cm)
24 x 30 x 15
署名・年記
左側人物腕下に署名、鋳造番号: A. Rodin 2/12
所蔵経緯
松方コレクション
Standard ref.
M1290
分類
彫刻
所蔵番号
S.1959-0042
来歴
松方幸次郎氏購入; 1944年フランス政府が接収; 1959年フランス政府より寄贈返還.
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