THE CREATOR 創造者

このレリーフは、《地獄の門》の一部に組み込まれています。《地獄の門》の最下部で、上方で展開される地獄図に押し出されるような位置です。膝を曲げて身を縮める裸体の男性は、鬚を生やした顔の特徴からロダン自身であると、アルバート・エルセンは指摘しています1)。《地獄の門》にはほかの作品に見られるようなロダンのサインは刻まれていませんが、この浮き彫りを門全体のうち最後に制作されたと考えるエルセンは、ここにロダンのサインの役割を見ています。男性の左後方から耳元に向かって、男性にささやきかけるように見える女性は、彫刻家に霊感を与えるミューズで、ロダンが他の構成でもしばしば制作した主題です。

I) Albert Elsen, The Gates of Hell by Auguste Rodin, Stanford: Stan­ford University Press, 1985, p.221.

(大屋美那監修/編集『手の痕跡 : 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描』 展覧会図録、東京:国立西洋美術館、2012年)

制作年

1890年以前

材質・技法・形状

ブロンズ

寸法(cm)

41 x 36 x 13.5

署名・年記

中央下に署名、鋳造番号: A. Rodin / No 2/8; 台座下部右下に鋳造印、書込み: FC By Musée Rodin 1983

所蔵経緯

国立西洋美術館協力会より寄贈

分類

彫刻

所蔵番号

S.1988-0001

来歴

松方幸次郎氏購入; 1944年フランス政府が接収; 1959年フランス政府より寄贈返還.

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