ORPHEUS オルフェウス

本作は3人の人物による構成で、下でふたりの人物を支えるような女性は《目覚め》や《跪くファウナ》として単独像にもなっています。この人物構成は、そのまま《地獄の門》のティンパヌムの左に配置されています。ティンパヌムには多くの女性像が登場しますが、そのなかからロダンはあえてこの重力に反した不安定な組み合わせの部分を切りとり単独像としました。

《オルフェウスとマイナスたち》には男性であるオルフェウスの存在が見あたらず、3人の女性像としては題名が不自然です。おそらくこの題名は後に大理石で同じ構成の作品が制作されたときにつけられたものでしょう(1905年、パリ、ロダン美術館所蔵)。大理石像では跪く女性像が男性に変更されており、大理石を彫った職人マテからの請求害には「通り過ぎる声とオルフェウスの群像」となっています1)。

1) Nicole Barbier, Marbre de Rodin, Paris Éditions du Musée Rodin, 2007, p.166.

(大屋美那監修/編集『手の痕跡 : 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描』 展覧会図録、東京:国立西洋美術館、2012年)

制作年

1908年(原型)、1921年(鋳造)

材質・技法・形状

ブロンズ

寸法(cm)

146 x 80 x 126

署名・年記

台座右下に署名: A. Rodin; 台座左側面後方に鋳造銘: Alexis Rudier / Fondeur Paris

所蔵経緯

松方コレクション

Standard ref.

M1285

分類

彫刻

所蔵番号

S.1959-0037

来歴

松方幸次郎氏購入; 1944年フランス政府が接収; 1959年フランス政府より寄贈返還.

※このサイトでご覧いただけるすべての3Dモデルは、山田修氏により計測・作成されたものです。