MASK OF MRS. RODIN (ROSE BEURET) ロダン夫人(ローズ・ブーレ)のマスク

ローズ・ブーレ(1844-1917)がロダンと出会ったのは、1864年、若き彫刻家が劇場装飾の下請け仕事などをしていた頃でした。
2年後には彼らの間に、息子オーギュストが誕生しますが、ふたりが正式に結婚したのはローズの死の数日前、1917年1月のことでした。ロダン自身も同じ年の11月に死去しています。
正式な夫婦ではなかったものの、 ローズは常にロダンの傍らで献身的に振る舞いました。ロダンが旅でアトリエを離れている間、粘土が乾かないように濡れた布を取り替えるなど、作品を管理するのは彼女でした。
また、彼女はまだ貧しく職業モデルを雇うことができなかった時代から、ロダンの彫刻のモデルを務め、《ミニョン》や《ベローナ》などが生みだされました。本作では女性の肖像にしばしば見られる装飾性が排され、目を閉じ穏やかなローズの表情を簡潔にとらえています。ロダン美術館には、本作と似たローズのマスクの大理石像が残されていますが、こちらは未加工の大理石の大きな塊の一部にマスクが浮かび上がるように彫られ、神秘的な作品となっています。この大理石像はブールデルによって彫られた可能性も指摘されています。

(大屋美那監修/編集『手の痕跡 : 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描』 展覧会図録、東京:国立西洋美術館、2012年)

制作年

1880-82年頃

材質・技法・形状

ブロンズ

寸法(cm)

25.5 x 16.5 x 15

署名・年記

頸部右に署名、鋳造番号: A. Rodin / No 8; 頸部右下に書込: by musée Rodin 1980; 頸部左下に鋳造銘: George Rudier. / .Fondeur. Paris.

所蔵経緯

山本英子氏より寄贈

分類

彫刻

所蔵番号

S.1990-0002

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