ETERNAL SPRINGTIME 永遠の青春

《接吻》と同様、口づけをする裸体男女の組み合わせの作品です。両作品ともに当初は《地獄の門》に組み込む人体像として制作されましたが、結局は《地獄の門》とは切り離されました。その後、単独像として展覧会に出品され、人気を博しました。《接吻》が静的な閉じた構成であるのにたいして、本作は男女とも手足を空間に投げ出すように躍動的であり、体の正面を開いた構成となっています。動きをともない、女性が男性に抱きかかえられる形で口づけをする構成は、カノーヴァによる《アモールの口づけにより息を吹き返すプシュケー》(1787-93年、パリ、ルーヴル美術館所蔵)を思わせます。しかしロダンの彫刻では軽やかさよりも重量感や力がより強調されています。1900年のサロン展で初めて《永遠の青春》という題名で石膏像と大理石像が出品されましたが、それ以前には「ゼフュロス群像」や「アモールとプシュケー」などと呼ばれたこともありました。

本作についてはバルブディエンヌ鋳造所がロダンとの契約のもと、多数の縮小版ブロンズ像を制作、販売しました。国立西洋美術館所蔵のブロンズ像はアレクシス・リュディエ鋳造所による鋳造で、オリジナル・サイズです。

(大屋美那監修/編集『手の痕跡 : 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描』 展覧会図録、東京:国立西洋美術館、2012年)

制作年

1881-84年

材質・技法・形状

ブロンズ

寸法(cm)

65 x 71 x 38

署名・年記

台座背面に署名: A. Rodin; 台座背面右下に鋳造銘: Alexis Rudier / Fondeur Paris

所蔵経緯

松方コレクション

Standard ref.

M1264

分類

彫刻

所蔵番号

S.1959-0016

来歴

松方幸次郎氏購入; 1944年フランス政府が接収; 1959年フランス政府より寄贈返還.

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