DESPAIR 嘆き

腰を地面につけて片足をあげる女性像は、足の位置や台座の形状を変えた、いくつかのヴァージョンがあり、《地獄の門》 のなかにも複数登場します。本作は類作のなかで最も足を高くあげ、細部表現が省かれた抽象的な形態をしています。同じポーズの女性を描いた素描がロダン美術館に所蔵されています。ロダンはアトリエで裸体のモデルに特定のテーマ設定をすることなく、自由にポーズをとらせ、それを素早い筆致で描いています。人体の動勢を描きためたこれら多数の素描は、彫刻制作における人体表現の供給源にもなっていたのです。

(大屋美那監修/編集『手の痕跡 : 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描』 展覧会図録、東京:国立西洋美術館、2012年)

制作年

1890年以前

材質・技法・形状

ブロンズ

寸法(cm)

18 x 9 x 9

署名・年記

台座左側面に署名: A. Rodin; 台座背面下に鋳造銘: A. Rudier / Fondeur. Paris

所蔵経緯

松方コレクション

Standard ref.

M1262

分類

彫刻

所蔵番号

S.1959-0014

来歴

松方幸次郎氏購入; 1944年フランス政府が接収; 1959年フランス政府より寄贈返還.

※このサイトでご覧いただけるすべての3Dモデルは、山田修氏により計測・作成されたものです。