CHILDREN EMBRACING 抱きあう子供たち

《抱きあう子供たち》は、1886年頃に制作された《蜥蜴と子供たち》(石膏とブロンズ、パリ、ロダン美術館所蔵)をもとにして彫られた大理石像です。後者では台座に小さな蜥蜴が置かれ、それに驚いて子供のひとりがひっくり返り、それをもうひとりの子供が支える構成になっています。大理石像では蜥蜴が彫られていませんが、人物構成と台座の形状は一致しています。ロダンは1880年代に子供をモチーフにした小品を多く制作していますが、本作は個別に制作された子供像2点を選択し、組み合わせたものと考えられます。こうした子供像は、カリエ=ベルーズのもとで制作したブリュッセル証券取引所の建築装飾やセーヴル磁器製作所での磁器装飾にも見られ、また《地獄の門》の柱部分にも用いられています。《抱きあう子供たち》の大理石像としては2点が知られていますが、国立西洋美術館所蔵作の形状は石膏原型に近いです。

(大屋美那監修/編集『手の痕跡 : 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描』 展覧会図録、東京:国立西洋美術館、2012年)

制作年

1880年代

材質・技法・形状

大理石

寸法(cm)

44 x 26 x 26

署名・年記

台座左側面に署名: A. Rodin

所蔵経緯

松方コレクション

Standard ref.

M1263

分類

彫刻

所蔵番号

S.1959-0015

来歴

松方幸次郎氏購入; 1944年フランス政府が接収; 1959年フランス政府より寄贈返還.

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