BUST OF OCTAVE MIRBEAU オクターヴ・ミルボーの胸像
ミルボー(1850-1917)は詩人であり、小説家、戯曲家であると同時に、ジャーナリスト、美術批評家でもありました。気性の激しい性格であったことが報告されますが、ジェフロワは「色彩と形に関して、自分が知るなかで最も聡明な批評家」1)と称しました。早くからロダンの彫刻を高く評価したひとりで、とくに1885年に最初に《地獄の門》の紹介をしたのがミルボーであったことは注目されます。また、ロダンはミルボーの著作『拷問の庭』(1899年初版)の口絵を描き、これが好評を博したため、ロダンの素描をもとにしたリトグラフを加え、第2版が出版されました。
この頭部像では細部の表現が曖昧に処理され、多くのタッチが粗く残されています。ミルボーの激情的な性格よりも、知的な様子が浮かび上がります。本作にはふたつのヴァージョンが知られますが、国立西洋美術館所蔵のブロンズ像は首の形がしっかりし、首を少し右に傾けたヴァージョンのものです。
1) Hare, p.352.
(大屋美那監修/編集『手の痕跡 : 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描』 展覧会図録、東京:国立西洋美術館、2012年)
制作年
1889年
材質・技法・形状
ブロンズ
寸法(cm)
28 x 19 x 23
署名・年記
頸部正面に署名: A. Rodin; 頸部背面右に鋳造銘: ALEXIS RUDIER / Fondeur PARIS
所蔵経緯
松方コレクション
Standard ref.
M1282
分類
彫刻
所蔵番号
S.1959-0034
来歴
松方幸次郎氏購入; 1944年フランス政府が接収; 1959年フランス政府より寄贈返還.
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