BUST OF MRS. RUSSELL ラッセル夫人の胸像

本作のモデルはオーストラリア人のジョン・ポール・ラッセルの妻でイタリア出身のマリアンヌです。ジョン・ポール・ラッセルは1886-88年にコルモンのアトリエで学んだ画家で、ゴッホやゴーガン、モネ、ジェフロワなどと交流がありました。ロダンとはモネやジェフロワを介して知り合った可能性があります。マリアンヌの頭部は蠟や石膏で制作された後、銀やブロンズに鋳造されたほか、大理石にも彫られました。骨太で端正な彼女の顔立ちは、ロダンに古代彫刻を想起させたのか、1900年以降、その頭部は《パルテノン神殿を頭上に載せたパラス》(大理石、パリ、ロダン美術館所蔵)、《ヘルメットを被ったパラス》(大理石、リヨン美術館所蔵)、《ミネルヴァ》(大理石、フィラデルフィア美術館所蔵)などに用いられました。頭部像としては国立西洋美術館所蔵のヴァージョンに先立ち、首をわずかに左にかしげ、髪にヴォリュームをもたせた別のヴァージョンがあります。

(大屋美那監修/編集『手の痕跡 : 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描』 展覧会図録、東京:国立西洋美術館、2012年)

制作年

1888年

材質・技法・形状

ブロンズ

寸法(cm)

43 x 20 x 24

署名・年記

左肩に署名: A. Rodin; 右肩背面に鋳造銘: Alexis RUDIER. / .Fondeur. PARIS.

所蔵経緯

松方コレクション

Standard ref.

M1298

分類

彫刻

所蔵番号

S.1959-0050

来歴

松方幸次郎氏購入; 1944年フランス政府が接収; 1959年フランス政府より寄贈返還.

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