BUST OF JEAN-BAPTISTE RODIN ロダンの父の胸像

ロダンの父ジャン=バティスト(1803-1883)は、パリの誓察の事務員として勤めあげた人物で、ロダンが描いた2点の油彩画では、豊かな鬚を生やし、穏やかな人柄が感じられます。一方、胸像では鬚がなく、口元を引き締めた厳格な表情をしています。均整のとれた頭部全体の輪郭は無駄がなく簡潔で、首からそのままつながる角のはっきりした四角い台座が呼応しています。ロダンはここで、父の頭部をモチーフにして、あえて古代の肖像彫刻のような厳粛さを作品に与えています。しかしこの作品を見た父は、自慢の鬚を無視され、機嫌を損ねたといいます。父には古代風の表現を目指したロダンの意図は理解されなかったのでしょう。

この作品はロダン20歳のときの作品ですが、石膏にした後、長らくアトリエに放置されていました。ほこりを被った石膏像を見いだしたロダンは大いに喜び、しばらく石膏像をテーブルに飾っていたといいます。ブロンス鋳造はアレクシス・リュディエ鋳造所によって、1917年と1922年の2回なされ、後者が松方コレクションに収められました。

(大屋美那監修/編集『手の痕跡 : 国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描』 展覧会図録、東京:国立西洋美術館、2012年)

制作年

1860年

材質・技法・形状

ブロンズ

寸法(cm)

41 x 30 x 20

署名・年記

右側面に署名: A. Rodin; 背面下に鋳造銘: Alexis RUDIER / Fondeur PARIS.

所蔵経緯

松方コレクション

Standard ref.

M1297

分類

彫刻

所蔵番号

S.1959-0049

来歴

松方幸次郎氏購入; 1944年フランス政府が接収; 1959年フランス政府より寄贈返還.

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